1997年3月14日
私にとって今までの人生、そしてこれからの人生の中でも忘れることのできない一日になった。この日、私たちは横浜アリーナの入口で担当の人を待っていた。私は大きな箱を持ち、もう一人は花束を持って。
幸せは突然やってくる。ある日、私は雑誌を読んでいると「Bryan Adamsバックステージご招待！」の文字が体を走り抜ける・・・。私はその数日前、チケットをとるために徹夜で並んでいた。しかし私のミスだった。「15日武道館2階席」・・・。私の目に映るチケットは悔しさで滲んでよく見えなかった。そこで、この記事の発見。バックステージでもいい。もっと近くで、この目で、この体でBryan Adamsを感じたかった。
そして数週間が過ぎたある朝、一通の封筒が届いた。集英社と印刷されている。開けてみる。2枚の紙切れが入っていた・・・「バックステージご招待・・・」信じられないことは、これだけではなかった。注意事項に、時間に遅れると楽屋に行けなくなるということが書いてあったのだ。そしてまた、サインしてほしい物も、持ってきなさいと・・・。私は何度も、この手紙を読み直した。そこには3月14日1組ペアの抽選に当選したことが記されていた。
当日17時に待ち合わせだった。多くのファンの中、自分たちだけが隣の入口で待っていた。そして時間が来る・・・。本人と会うのは、私達と集英社の人、レコード会社の人の、計4人。レコード会社の方は、日本で一番 Bryan Adamsと親しい人らしく、首にかけているカードにはVIPの文字が入っていた。気軽に「Bryan」と言う彼にジェラシーを感じながら色々な話を聞いた。今回のツアーのスタッフが40人もいないこと。運営上のこと。どんな人達が、どんな事をしているかなど、自分の今いる場所、聞いている話、すべてが新鮮だった。
そしてBryan Adams本人が現れる・・・。緊張というより、真っ白・・・。
持ってきた花束を渡す。彼はその花を彼女の顔に近づけ、「美しい」と褒めていた。私は土産の箱を開ける。「ウワァーオ！」（私も初めて開けたときは同じだった）ちょっとしたアメリカンジョークを交えながら本当に喜んでくれた。
少しの間、彼と話をして、サインをもらい、肩を組んで写真も撮った。サインには私の名前も入れてくれた。死ぬほど幸せだった。最後にコンサートで好きな曲をやってくれることになり、一曲ずつ、お願いした。あっという間に時間が過ぎた。
その日のチケットは編集部の方が準備してくれたもので、なんとセンター席 後方 第2ステージの、すぐ隣の席だった。（コンサートに行った人なら分かると思うが、もしかしたら一番いい席かも）
私達は、そこで参加した。リクエストした曲は、その日の会場からのリクエスト「Somebody」の前後に一曲ずつ私達に分かるように演奏してくれた。コンサートは横浜アリーナにいる全ての人たちと一体化し最高の出来だった。Bryan Adamsが私との別れ際に「今日のコンサートは最高なものにするから期待しててくれ」みたいなことを言ったが、それはまさしく本当だった。
この日、私は眠れなかった。私は一緒に写真を撮ったり、話をしたことで親しくなったと勘違いをしていた。もう、これから何年も会えなくなる（実際は、ずっともう会えないのだけど）と思うと、このままで良いのか？だからといって、どうすることも出来ない。そこには夢中になった自分だけがいた。そして次の日、15日武道館2階席。遠い所から見たBryan Adamsは偉大で自分とは全く違う人だった。私は目が覚めた。そう私はファンの一人なのだと。
今思うと、全てが、徹夜で並んでミスして2階席になったこと、悔しかったこと、勘違いしたこと、目が覚めたこと、これら全てが互いに影響しあって、全てが良い結果になったことを知った。そして、私の人生も色んな経験をして失敗して成功して、友人に、親に、全てに影響しあって今の自分があり、良い方向に向かっていることを感じることができた。Bryan Adams、編集部の人、レコード会社の人、自分、そして これを最後まで読んでくれたあなたに感謝したい。ありがとう
文が長くなり申し訳ありませんでした。何か感じた人はメールでも打っていただけると嬉しいです。